本の紹介と5月の読書会へのお誘い

NHKスペシャル取材班・佐々木とく子『「愛」なき国 介護の人材が逃げていく』 (阪急コミュニケーションズ、2008年)

介護の仕事をしていても、「ピンピンコロリが理想だ」とたやすく言われる方がおられます。それはすなわち、年をとって介護が必要になった人は、可哀そうだと言っていることに他ならず、そして自分は、そのように思って欲しくない、ということなのでしょう。

何度でも言います。介護の仕事に就く私たちの仕事は、「年をとったら、人の手を借りて下さい。手助けをしてもらって下さい。そのために、私たちが居るんですから」と言い続けることです。赤ちゃんや子供が、生きていくために周りの手助けを得ることを、「幼くて、可哀そうだねえ」と言う人がどこに居るでしょうか。だったらなぜ、お年寄りが、周囲の手助けを得ながら生きていくことが、可哀そうになるのか。

本書は、2007年3月11日に放送されたNHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」をもとに書かれた本です。もう6年も前に書かれた本ですが、ここから私たちは、どれだけ前に進めたでしょうか。

本書の中に、こんな言葉があります。「自分たちの老後を担う人たちとその仕事を私たち自身が貶(おとし)めている。それは「自分だけは年もとらないし、絶対に障害を持つこともない」と言うのと同じだ」。

前に、進みましょう。私たちの未来のために。私たちは、必ず年をとるし、必ず障害を持つ。高齢者、障害者は、明日の私だ。

5月の読書会
『「愛」なき国 介護の人材が逃げていく』
開催日時/2013年5月11日(土)14:00~15:30
開催場所/泉ヶ丘ホープ(ほーぷ広場)>>地図
参加費用/500円
企画担当/中村

お問合せ/072−291−7487

迷いの介護休暇(第7回) 松本敏子さん

他の友人からのメールには連休に行われた東京での研究会の感想が添付されていた。

震災で大勢の人が死ぬ、大切な身内が病気や障害を持つ…など、それ自体はまったく「シメタ」ではない出来事を目の前にして、「どっちに転んでもシメタ」という言葉はいかなる意味を持つか?

そのキーワードは「偶然」と「あきらめ」と「再出発」。それらの悲しい出来事は、「偶然」我が身に降りかかったものであって、そこには神の意志も無ければ前世の因果も無い。無理に意味を見つけようとしたり、なんとか元に戻そうともがいたりしているうちは苦しみが続く。

しかし、それが自分にはどうしようもない「偶然」の出来事なら、起きてしまったことは「あきらめ」るよりほか仕方ない。「あきらめ」て受け入れて、さて、そこからどうするか?

そういう気持ちになって初めて、これまでとは違う景色が見えてくる。新しく何かが出来そうな気がしてくる。それが「再出発」。苦しむ時期を出来るだけ短く抑え、再び前向きに生きることが大事。「どっちに転んでもシメタ」というのは、不幸を無理に納得しようとするやせ我慢の言葉ではなく、「不幸な偶然はさっさとあきらめ、そこから再出発すれば人生は再び明るく開ける」という原理を示す言葉。

関わりようのないことはあきらめ、関わりようのあることだけを生きる。つまり、そのような再出発の人生そのものが、「シメタ」なのだともいえる。(つづく)

(ほーぷレター2013年4月号より)

~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。

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ワーカー日誌(第34回) 廣田美代子

“人生いつだってこれから 朝はかならずやってくる”

テレビ番組の人生の楽園を毎週見ています。60才をすぎれば人生はあと少し。縁あって、ホープの仲間に入って1年たちました。仲間や利用者様に支えられて、今が最高の時といつも思いつつ、これからも新しいことに挑戦しながら、楽しいことを見つけていきます。

(ほーぷレター2013年4月号より)

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泉ヶ丘ホープは、2013年5月23日で設立15周年を迎えます。

泉ヶ丘ホープは、2013年5月23日で設立15周年を迎えます。

先月号で私が泉ヶ丘ホープに入った経緯を少し書きました。15年前、図書館でのワーカーズ募集説明会に参加した日から、ずっと生きづらさを抱えて生きてきたそれまでの自分が変わっていきました。殻を一枚ずつ破っていけたと思います。ワーカーズ・コレクティブという働き方は、過去を問われることはなく、メンバーは、常に運営のこと、仕事のこと、未来のことを話す仲間でした。

泉ヶ丘ホープでは、私は私にできることをしていればよかったし、真剣な討議の場に身を置くことがとても心地よく感じました。尊敬できる仲間の中に身を置き、運営に携わり、ワークで利用者様に接し、多くの研修や勉強会に参加し、イベントを皆で開催していくことで、私は自分の生き方に自信がもてるようになっていきました。

最近、会の中で回し読みしている本『協同で仕事をおこす』の中に、「協同労働は、他の人間の力や社会関係のあり方によって、人間のなかに潜在的にある自ら育つ力を引き出し、伸ばす働き方である」というくだりが出てきます。この15年で私はまさにそれを体感しました。

そういう、私を育ててくれたこの働き方とこの会を私は誇りに思っています。もっと多くの人に知っていただいて、ここを必要とする人たちと共に働き、これからも地域の方々の拠り所となれるサービスと場所を作り続けていきたいと思います。
(代表理事 中島紀子)

(ほーぷレター2013年4月号より)

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