本の紹介と9月の読書会へのお誘い

広井良典編著『協同で仕事をおこす―社会を変える生き方・働き方』(コモンズ、2011年)
先日のホープの「夏祭り」の応援にも来てくれた、大学時代の旧友から、こんなメールが届きました。

「中之島図書館にて、調べたかった公共サービスの民営化の本を探していたところ、その隣に『協同で仕事をおこす』という本が隣にあって、本題そっちのけで読んでしまいました。なるほどな、よしやさんの取り組まれていることが、こういう流れのなかで生まれてきているんだな~、ということがよくわかりました。学部、大学院と、労働法制や労働経済にも多少入れ込んでおりまして、労働力を持ち寄りながら運営していく仕組み、雇用者と被用者の関係を超えた仕組みというのが(まぁ、個別さまざまな形態や事情はあるでしょうが)実際に社会の中で必要とされているというのは間違いないなと思ったりもします。

あら~、嬉しいじゃありませんか。実はこの本は、ワーカーズを知るための最良の本の一つだと思っていて、実際に泉ヶ丘ホープでも数冊購入して、全スタッフで回覧したほどでした(まだの方は、ぜひどうぞ!)。来たるべき時代のキーワードは、「協同組合」と「NPO」だとよく言われます。そして、その両方を備えているのが、私たちのような組織です。その一方で、最先端かつ「いいとこどり」を宿命づけられたようなところもあって、組織運営上、うまくやることが必要不可欠なのですが、それができていないことが、今の私たちの問題かなあ…。さて、あなたはどう思われますか?

9月の読書会
協同で仕事をおこす
開催日時/2013年9月14日(土)14:00~15:30
開催場所/泉ヶ丘ホープ(ほーぷ広場)>>地図
参加費用/500円
企画担当/中村

お問合せ/072−291−7487

本の紹介と8月の読書会へのお誘い

『老後の100%安心ノート』(プレジデントムック、2013年6月、690円)
NHK・Eテレ「ハートネットTV」の7月の特集「シリーズ認知症“わたし”から始まる」をご覧になりましたか?(いい番組でしたね!)

先日の朝日新聞・湯浅誠「わたしの紙面批評」でも、認知症が巨大な社会問題になっていると指摘されていました。「きれいごとではすまない」「知らんぷりをしていられない」「明日はわが身」なのが、老いであり、認知症なのかもしれません。

「東洋経済」「ダイヤモンド」「プレジデント」といったビジネス誌が、頻繁に介護系の特集を組むようになって久しいですが、今回取り上げるのは、その最新のムックです。「一家に一冊、10倍得する保存版」との触れ込みで、「認知症400万人超!『ボケない生き方』入門」というタイトルのつけ方には、相変わらずだなあ、と思わなくもないですが、その焦点・ズレっぷりも含めて、「世の中が、老後をどう見ているのか」の全体的イメージを知る、格好の材料になっています。

このムックは、ほーぷにも一冊、置いてあります。ぜひ手に取って、私たちと一緒に、“わたし”から始まる老後を、考えてみませんか?

8月の読書会はお休みです。

本の紹介と7月の読書会へのお誘い

7月は、児童文学を取り上げます。先号では、湯本香樹実『夏の庭』(徳間書店、2001年)を紹介しましたが、今号ではもう1冊、海外作家の作品を取り上げます。

「長くつ下のピッピ」「名探偵カッレ君」で有名なリンドグレーンは、60代になってから、『はるかな国の兄弟』(岩波書店、1976年改版)という本を書きました。生前、晩年の誕生日のインタビューで何が欲しいかと問われ、「世界に平和とかっこいい服」と答えたというリンドグレーン(超カッコイイ!)。そしてこの本も、もの凄い本です。

『夏の庭』は、元気溢れる少年たちが、死と出会おうとしたひと夏の物語、『はるかな国の兄弟』は、死後の世界に入った兄弟の物語。あなたの心と経験は、どちらに響くでしょうか。

7月の読書会
「夏の庭」&「はるかな国の兄弟」
開催日時/2013年7月13日(土)14:00~15:30
開催場所/泉ヶ丘ホープ(ほーぷ広場)>>地図
参加費用/500円
企画担当/中村

お問合せ/072−291−7487

本の紹介と6月の読書会へのお誘い

広井良典『死生観を問いなおす』(ちくま新書、2001年)によると、「(本書の中で退けた『死とはただ無に帰すること』という考えを除き、)『死』と『私』自身の関係については、つきつめれば次の4つの考え方に整理できるように思われる。

(A)肉体は滅んでも『こころ』あるいは『たましい』は存在し続ける
(B)死んだら『自然』(生命、宇宙)に還り、かたちを変えて存在し続ける
(C)私自身の意識はなくなるが、かたちを変えて輪廻転生を続ける
(D)なんらかのかたちで『永遠の生命』を得る」(p.211-212)
ということのようです。

あなたは、(A)から(D)のどの派でしょうか?(私は、悩むんだけれど、(D)かなあ…。)

6月の読書会はお休み。7月には、久しぶりに児童文学を取り上げます。うち1冊は、湯本香樹実『夏の庭』(徳間書店、2001年)です。3人の少年と孤独な老人(=死に直面した老人と子供)のかけがえのない夏を描いた、日本が世界に誇る児童文学の傑作です。まだの方は、この機会にぜひどうぞ!

本の紹介と5月の読書会へのお誘い

ジャーナリストの日垣隆氏が、「14歳からの〈人生の教科書〉100冊」と題して、『文藝春秋』の2007年1月号に寄せた文章の中で、こんなことを書いています。

社会の一員としての読書は、何ゆえに、あるいは何のためにするのか。
第一、おもしろいから人は本を読む。
第二、背伸びができる。
第三、「いろいろな人がいる」ことを学べる。
第四、知的好奇心を満たす。
第五、人生の先達に学ぶ近道である。
第六、世の中を広く知ることができる。
第七、ありえたかもしれない人生を活字上で味わえる。

東大全共闘の元議長で、駿台予備校で物理を教える山本義隆氏が、『磁力と重力の発見』で大佛次郎賞などを受賞した記念講演において、受験を終えた学生たちに向かい、このように述べたそうです(朝日新聞2005年2月23日)。

山本さんは、近代科学の歩みを説明し、最後に「ところで、何のために勉強するのでしょうか」と問いかけた。

「専門のことであろうが、専門外のことであろうが、要するにものごとを白分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため。たったそれだけのことです。そのために勉強するのです」「外国では、自己主張しない人間は単に不勉強で無能だと思われるだけです」。

新しい年度に入り、泉ヶ丘ホープも新しい体制と大きな変化のときを迎えます。皆さんに、よい読書とよい学びの出会いがありますように。

第39回読書会
『「愛」なき国 介護の人材が逃げていく』
開催日時/2013年5月11日(土)14:00~15:30
開催場所/泉ヶ丘ホープ(ほーぷ広場)>>地図
参加費用/500円
企画担当/中村

お問合せ/072−291−7487

本の紹介と5月の読書会へのお誘い

NHKスペシャル取材班・佐々木とく子『「愛」なき国 介護の人材が逃げていく』 (阪急コミュニケーションズ、2008年)

介護の仕事をしていても、「ピンピンコロリが理想だ」とたやすく言われる方がおられます。それはすなわち、年をとって介護が必要になった人は、可哀そうだと言っていることに他ならず、そして自分は、そのように思って欲しくない、ということなのでしょう。

何度でも言います。介護の仕事に就く私たちの仕事は、「年をとったら、人の手を借りて下さい。手助けをしてもらって下さい。そのために、私たちが居るんですから」と言い続けることです。赤ちゃんや子供が、生きていくために周りの手助けを得ることを、「幼くて、可哀そうだねえ」と言う人がどこに居るでしょうか。だったらなぜ、お年寄りが、周囲の手助けを得ながら生きていくことが、可哀そうになるのか。

本書は、2007年3月11日に放送されたNHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」をもとに書かれた本です。もう6年も前に書かれた本ですが、ここから私たちは、どれだけ前に進めたでしょうか。

本書の中に、こんな言葉があります。「自分たちの老後を担う人たちとその仕事を私たち自身が貶(おとし)めている。それは「自分だけは年もとらないし、絶対に障害を持つこともない」と言うのと同じだ」。

前に、進みましょう。私たちの未来のために。私たちは、必ず年をとるし、必ず障害を持つ。高齢者、障害者は、明日の私だ。

5月の読書会
『「愛」なき国 介護の人材が逃げていく』
開催日時/2013年5月11日(土)14:00~15:30
開催場所/泉ヶ丘ホープ(ほーぷ広場)>>地図
参加費用/500円
企画担当/中村

お問合せ/072−291−7487

本の紹介と4月の読書会へのお誘い

藤井輝明『あなたは顔で差別をしますか』(講談社2008年)

私たちは、自分ひとりの人生しか、歩むことができません。もちろん、他の人と共に、「生活」を送っていくことはできる。けれど、「人生」という意味では、あくまで自分のものしか、味わうことができないのではないか。

その一方で、本には、人生が詰まっているとも思う。すなわち、本を読むことは、その人の人生を、その人の眼を通して見ることだと思う。(映画好きの方は、同じような思いを、映画に対しても思うんだろうな。)

かつて本を編む側にいた人間として、また今でもかすかに、書かれたものによって世の中とつながっている者として、(結果として)売れない本を書くことが、どれほど「割に合わない」ことかは、よく分かっています。なのになぜ、本を書く人たちは、本を書くのか。

それは、やむにやまれぬ事情があるから――それに尽きると思う。誰かに、何かを伝えたい。その思いを抑えきれないから、本の書き手は、日々の生活の中で多くの犠牲を払いながら、数万の文字を連ねて本を書き、世に出すのです。

本書の副題は、「「容貌障害」と闘った五十年」というもの。藤井先生のお顔を、テレビ等でご覧になった方もおられるでしょう。もの凄い本です。ぜひ読んで!

4月の読書会
「あなたは顔で差別をしますか」
開催日時/2013年4月6日(土)10:00頃~11:30
開催場所/泉ヶ丘ホープ(ほーぷ広場)>>地図
参加費用/500円
企画担当/中村

お問合せ/072−291−7487

FX