「宅老所よりあい」を見学して(5) 中島紀子

福岡の「宅老所よりあい」を見学した帰りの飛行機の中で、第2宅老所よりあいの所長である村瀬孝生さんの著書『宅老所よりあいの仕事-看取りケアの作法』を読みました。看取りケアとはどういうものかまったく経験のない私に、ああ、私もできることなら体感してみたいと思わせたその本の一部をここに紹介します。

―――僕たちはよしおさんの死に立ち会った。そこにあったのは深い悲しみだけではない。むしろ、その悲しみを超える喜びがあった。職員の一人は、「いま僕は悲しいけれど、喜びに満ち溢れています」と言って泣いた。

僕は「これで生きていける」と思った。そう思った瞬間、自分でも気がつかぬうちに危うさを抱えていたことを知った。僕はこれまで、どこか人を信じられないで生きてきたのかもしれない。けれど、人は信じるに値するものなのだ。そのことが胸に深くおちた。見も知らぬ他人の顔を見てもうれしくなった。こんな境地は初めてだった。「これで生きていける」。

同時に、第2よりあいの組織としての未熟さも露呈した。よしおさんが亡くなると職員の数名はやめると思っていた。よしおさんの求心力で職員集団が成り立っていることは感じていた。予見通り二人が辞めた。第2よりあいとしての組織的課題も、よしおさんは教えてくれた。仕事として成立させなさい。そう言われているように思えた。―――(次号につづく)

(ほーぷレター2013年6月号より)

Filed under: ほーぷレター,施設訪問 — 55hope 5:41 PM  Comments (0)

迷いの介護休暇(第9回) 松本敏子さん

やることはまだまだたくさんある。やりたいこともまだまだたくさんある。落ち込んでなんかはいられない。

「どうせ休むなら、楽しい介護休暇を」と言ってくれた優しいダンナ様と時間ができたら一緒にダベろうよと言ってくれる友人達と。

幸せだと感じたらキリがないほどの幸せに囲まれている。自分はかわいそうだという思いにケリを付けて、同じ時間を幸せに過ごしていこう。

そんなふうに考えを切り替えることができただけでも「えいっ」と高知へもどってよかったと思える。

堺ででもネットができるようにしようかとあれこれ考えたけれど、近くの図書館では30分無料で貸してくれるし、ネットが使えない時間を大事にするのもいいかと考え直してしばらくはネットなしの生活を送ってみようかと思う不便だけれど、冷蔵庫が使えなかったり、電車が走らなかったりする程の不便さでもない。

6月から高速道路の休日割引がなくなり、高知ー大阪の往復料金は痛いけど、津波で流された何十万台という車の持ち主の思いを考えたら蚊が刺したほどでもないとも思えるし。

一ヶ月に一度くらいは高知へ帰ってくるパターンで過ごそうかと計画している。まあ、もちろん、コロンでもただでは起きない性格だから、何かと楽しい計画も随所に取り入れて。

自分がやりたいことができる幸せを再確認してまた大阪へもどって、自分のご機嫌を取りながら、何とか楽しく暮らしていこう。(つづく)

(ほーぷレター2013年6月号より)

~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。

Filed under: ほーぷレター,迷いの介護休暇 — 55hope 5:27 PM  Comments (0)

ワーカー日誌(第36回) 福井聖

デイサービスにおけるレクリエーションとは・・・
興味をもってもらえること、参加していただく事で「考える事」(脳への刺激)が始まる。と思います。しかし、口下手で人前にでる事がすっごく苦手な私・・・。なかなか上手くできません。難しすぎず、親しみがあり、「おもしろそうだ」と思ってもらえるようなレク、どのような話し方だと利用者さんに興味をもって参加してもらえるのか?日々試行錯誤しながら、私自身苦手な部分を克服し、成長していけたらなと思います。

(ほーぷレター2013年6月号より)

Filed under: ほーぷレター,ワ-カー日誌 — 55hope 5:24 PM  Comments (0)

5月25日の通常総会において、下記役員が選任され、就任いたしました

5月25日の通常総会において、下記役員が選任され、就任いたしました。
(代表理事)中村義哉 (副代表理事)西薗真貴(理事)亀山かおる 谷口和代 谷向香織 中島紀子 仲西美恵 浜田亜紀
また、6月1日付で、下記事業の管理者に、以下の者が就任いたします。
(訪問介護事業)浜田亜紀 (通所介護事業)中島紀子
ここに謹んでご報告申し上げます。
かつて、「企業の寿命は30年」という説が話題になりました。介護保険から軽度(要支援)者向けのサービスを切り離す議論が本格化するなど、地域福祉を取り巻く環境が一段と厳しさを増す折、その半分を生き延びた私たちに課せられた責務は重大です。今から15年前、当団体の設立者たちが、「いつか、自分たちが介護が必要になったとき、自ら使いたいと思えるサービス・団体を作りましょう」と言い合って始めたであろうこの組織が、今日から15年後も続いているためには、私たちはどうすればよいのでしょうか。

今後もワーカー一人ひとりが、時間と知恵と力を出し合って、右欄に掲げられた理念の実現と地域の発展のため、さらに前に一歩進んでいけますよう、前任者同様、なお一層のご支援を、よろしくお願い申し上げます。(代表理事 中村義哉)

(ほーぷレター2013年6月号より)

Filed under: ほーぷレター,代表より — 55hope 5:21 PM  Comments (0)

「宅老所よりあい」を見学して(4) 中島紀子

生死に関わる覚悟まで含めた本気の取り組みができるかどうか…私の判断で、言葉で、人を死に至らしめることがある。それでも尚、人と関わっていきたいと思えるのか。本気でやっている人のところには人が集まる。何か助けになりたいと思う。宅老所よりあいも多くのボランティアさん、地域の人が人的、物的、金銭的な面で運営を支えています。第一宅老所の中島さんが第三宅老所への移動の車の中で話されました。「ボランティアさん達にいっぱい助けてもらっていますが、何のお返しもできません。ただ、よりあいに関わっていることで、自分が何か困ったときに、情報が入ってくる…例えば、あそこのお医者さんがいいよとか、あの人に相談したらいいよとか、そんなことくらいですよねえ。」…そう、今すぐお返しはできません。でもここに関わっていたらいつかいいことあるよ。ホープもそういうところになりたいなと思います。

後日ですが、福岡市南区桧原(ひばる)にある第二宅老所よりあいも見学させていただきました。第二宅老所よりあいは、地域の人を巻き込んで、スタッフが細部までを話し合って、一から建てた施設です。出来上がる様子を見ていた近所の人は、「そば屋か?」と思っていたとか。ちょっと山小屋風の、新築とは思えない風格のある建物です。吹き抜けになった高い天井、山を見渡せる眺めのよいデイルーム、真ん中にでんと構えたオープンキッチン、回廊式の廊下の外側にお泊りの小部屋がいくつかあり、下の方に小窓がついていて、中の様子をほんのりと伺える障子で仕切ってあります。この小部屋で必要とされる方には看取りまでを行います。看取りをするときには、スタッフの方々は合宿をされるそうです。(次号につづく)

(ほーぷレター2013年5月号より)

Filed under: ほーぷレター,施設訪問 — 55hope 4:38 PM  Comments (0)

迷いの介護休暇(第8回) 松本敏子さん

人が悪い循環に陥る原因は「不安感」。モノの買い占め、放射能汚染の風評被害、さらには学校現場のキビシイ指導など、悪循環の原因は「不安感」にある。しかし、それは説得や慰めで消えるものではない。不安感を減らすためには、「本当はどうなのか?」を調べ、知ることが一番大切。我々はそれを「研究」と呼ぶ。本当のことさえ分かれば、不安感は劇的に減る。

放射線の直接的な健康被害よりも、それを不安に思うあまり、心の健康を失うことの被害の方がはるかに大きいのではないか。原発事故の状況のさらなる悪化は、事故当初は心配されたが、初期段階で東電のスタッフはよく対応した。今後、時間はかかっても状況は必ず沈静化する。キビシイ指導で学年や学級の体制を何とか維持しようとする生活指導が、こうして次々と破たんしていく事実は何を意味するか? 既に実験結果は出ている。その子を見捨てず、シンドくても共に居続けることが大事。最後には「人間的な関わり」が勝つ。

人間、落ち込んだら何もできなくなる。「自分を落ち込ませない」「自分を甘やかし、自分の機嫌をとる」というのが行動の基盤。

「あなたが一番大切にしているものは何ですか?」

「自分の気持ちです」

こういう方達と知り合えることができて、そういう研究会にいることができて、「私の人生もなかなか素晴らしいんじゃないか」と思える。文章を読んで、本当に元気が出た。 (つづく)

(ほーぷレター2013年5月号より)

~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。

Filed under: ほーぷレター,迷いの介護休暇 — 55hope 4:15 PM  Comments (0)

ワーカー日誌(第35回) 谷向香織

一昨年夏から「ティータイム」でお世話になっています「たにむかい かおり」です。

昨年の4月からホープの仲間に加わって、介護の勉強に通い7月にヘルパー2級を取得しました。まだ若葉マークの一年生で勉強中の身です。厳しいご指導・ご鞭撻のよろしくお願いします。(素人ですが、庭の手入れもします。ご利用下さい。)

(ほーぷレター2013年5月号より)

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