「宅老所よりあい」を見学して(5) 中島紀子
福岡の「宅老所よりあい」を見学した帰りの飛行機の中で、第2宅老所よりあいの所長である村瀬孝生さんの著書『宅老所よりあいの仕事-看取りケアの作法』を読みました。看取りケアとはどういうものかまったく経験のない私に、ああ、私もできることなら体感してみたいと思わせたその本の一部をここに紹介します。
―――僕たちはよしおさんの死に立ち会った。そこにあったのは深い悲しみだけではない。むしろ、その悲しみを超える喜びがあった。職員の一人は、「いま僕は悲しいけれど、喜びに満ち溢れています」と言って泣いた。
僕は「これで生きていける」と思った。そう思った瞬間、自分でも気がつかぬうちに危うさを抱えていたことを知った。僕はこれまで、どこか人を信じられないで生きてきたのかもしれない。けれど、人は信じるに値するものなのだ。そのことが胸に深くおちた。見も知らぬ他人の顔を見てもうれしくなった。こんな境地は初めてだった。「これで生きていける」。
同時に、第2よりあいの組織としての未熟さも露呈した。よしおさんが亡くなると職員の数名はやめると思っていた。よしおさんの求心力で職員集団が成り立っていることは感じていた。予見通り二人が辞めた。第2よりあいとしての組織的課題も、よしおさんは教えてくれた。仕事として成立させなさい。そう言われているように思えた。―――(次号につづく)
(ほーぷレター2013年6月号より)
5月25日の通常総会において、下記役員が選任され、就任いたしました。
生死に関わる覚悟まで含めた本気の取り組みができるかどうか…私の判断で、言葉で、人を死に至らしめることがある。それでも尚、人と関わっていきたいと思えるのか。本気でやっている人のところには人が集まる。何か助けになりたいと思う。宅老所よりあいも多くのボランティアさん、地域の人が人的、物的、金銭的な面で運営を支えています。第一宅老所の中島さんが第三宅老所への移動の車の中で話されました。「ボランティアさん達にいっぱい助けてもらっていますが、何のお返しもできません。ただ、よりあいに関わっていることで、自分が何か困ったときに、情報が入ってくる…例えば、あそこのお医者さんがいいよとか、あの人に相談したらいいよとか、そんなことくらいですよねえ。」…そう、今すぐお返しはできません。でもここに関わっていたらいつかいいことあるよ。ホープもそういうところになりたいなと思います。