名著のほまれ高い二村ヒトシ『モテるための哲学』によると

名著のほまれ高い二村ヒトシ『モテるための哲学』(幻冬舎文庫)によると、「居場所とは、ひとりでいてもさみしくない場所のことである」といいます。
これ、どう思われますか。私は、面白いと思いました。
ご存知のように、役所はもう何年も前から大きなコストをかけて、高齢者の居場所づくり、生きがいづくりをしようとしています。でも、そこで必ず問われるのは、「居場所、生きがいって、人に作ってもらうものなのか?」という単純な問いであり、事実、多くの試みは、この問いを乗り越えられずに、もがいているように見えます。
しばしば、「孤独と孤立は違う」ともいわれます。二村さんのいう居場所とは、「孤独を楽しむ場所」であり、その一方で、大勢の中にいても孤立している人は、きっといるのでしょう。
泉ヶ丘ホープの基本理念の一つは、「地域に私の居場所を増やす」です。それをするのは、私であり、あなたです。
さて、あなたは、どこにどんな居場所を持ち、どう維持しておられますか。
(代表理事 中村義哉)

(ほーぷレター2013年11月号より)

Filed under: ほーぷレター,代表より — 55hope 1:42 PM  Comments (0)

迷いの介護休暇(第13回) 松本敏子さん

介護休暇がくれたもの

まもなく震災の一周年がくる。一年前、母が骨折し、介護休暇を取ろうかどうしようか悩んでいた矢先の大震災だった。多くの人が亡くなり、諸行無常とはこのことかと感じ、今を大切に生きていきたいと感じた。迷っていた介護休暇を取ることに決めた。堺へもどって3ヶ月ほどは学校時間の感覚が抜けきらなかった。お昼になるとあわただしく給食指導をしているだろう同僚を思って申し訳なく思った。自分ひとりが違う空間へ放り出された気持ちでいた。小さくなった母と手をつないで若葉の緑道をリハビリに通った。お天気の良い日は公園でお弁当をひろげ、遠足の保育園児と挨拶をかわし、手押し車のおばあちゃんとお天気の話をした。小学校のプールから歓声が聞こえてくる頃になると、ずっとこのままでもいいかもと思えるようになっていた。朝早く起きてラジオ体操し、味噌汁と炊き立てのご飯で朝ドラを見ながら朝食を取る生活は何のストレスも無かった。朝干した洗濯物はお昼には乾いて片付けることができ、毎日買い物に行き、手の込んだ夕食を仕上げて母の帰りを待つことができた。(つづく)

(ほーぷレター2013年10月号より)

~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。

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今から3年半前、大学から地域へ

今から3年半前、大学から地域へ、活動の場を移した頃、自分自身に「本を読む暇がない」ことをはっきりと自覚し、周囲に対しても、「なるほど、こりゃあ、本が読めないわけだ」と得心したものでした。それまでは、ご飯を食べるように本を読んできましたし、それが自らの血肉になってきたことを知っていました。けれど、「本が読めない」ことの何たるかは、その頃はまだよく分かっていなかったような気がします。
ところが最近、大変魅力的な内容が用意されていることもあり(感謝です)、外部研修に参加したり、「積ん読」状態だった本を手に取ってみて、目が開かれる思いを重ねています。私たちが日々、格闘するのは、「いま・ここ」です。でも、学びを通して、「いま・ここ」に居ながらも、別の世界を知り、そこに自らをつなげていくこともできる――そう再認識する日々です。加えて、自分ひとりさえ良いのではなくて、共に前に進むことの楽しさも、一緒に味わっていければいいなあ、と願っています。
(代表理事 中村義哉)

(ほーぷレター2013年10月号より)

Filed under: ほーぷレター,代表より — 55hope 10:44 AM  Comments (0)

ワーカー日誌(第39回) 笹川あゆみ

事務の笹川です。私がホープと出会って1年になります。ホープの変革期(デイサービスのスタートや、事務所の移転など)にスタッフとして関わる事が出来て、毎日いろいろな経験をさせて貰っています。まだまだ新人ですが、少しずつでもホープに関わる方々のお手伝いが出来るように、がんばります。

(ほーぷレター2013年9月号より)

Filed under: ほーぷレター,ワ-カー日誌 — 55hope 11:13 AM  Comments (0)

8月、9月と、帝塚山学院大学と桃山学院大学から、学生さんがインターンシップ実習に来て下さっています

8月、9月と、帝塚山学院大学と桃山学院大学から、学生さんがインターンシップ実習に来て下さっています。彼・彼女たちを見ていて、素直なこと、そして、自分で責任を取ろう・自分で何かを引き受けようとする姿勢は、人をものすごく前に進めてくれるものなのだな、と痛感させられます。右も左も分からない、すべてが初めての中で、びくびくと遠慮ばかりせず、むしろ、「間違ってもいいから、○○してみようと思う」と力強く言い切って、周りとコミュニケーションを取りながら(これが大事!)一歩を重ねていく。その姿が、利用者さんにも、スタッフの皆にも、大変好評でした。

とうの昔に学生を卒業した私たちですら、今日が一番若い日。80代、90代の利用者さんたちにしたら、どれほどの若者か、とも思います。できることなら、素直に、自分の責任と、何かを引き受けて、歩んでいきたいと願います。その向こうには、どんな未来が広がっているでしょうか。(代表理事 中村義哉)

(ほーぷレター2013年9月号より)

Filed under: ほーぷレター,代表より — 55hope 11:07 AM  Comments (0)

迷いの介護休暇(第12回) 松本敏子さん

不登校児のキモチ

学期末で忙しい先生方の邪魔をしてはならんと早々に退散し、風雨が激しくなってくる街中を、市役所や、なじみのパン屋や本屋やスーパーに寄りながら帰る。自分が20年間暮らしてきた生活がここにあることを実感する。この生活が再びもとにもどることがあるのか、ないのか、皆が笑顔でいられるためにはどんな選択肢が一番いいのかを3本100円のナスを選びながら考えていた。台風一過の翌々日、昨年担任したクラスの子らが参加する、県の研究会での公開授業が行われた。休暇中だが、高知にいる手前、様子を見に行かないわけにはいかない。ひとしきりにぎやかな集団に手を振ると、思いっきり抱きついてくる子や、ひとしきり愚痴る子、遠巻きにはにかんでいる子、「先生、なんでおらんが」と相変わらずとんちんかんなヤツ。ちっとも変わってないと思いながらも、大人びてきた風貌にこちらも少々照れくさかったりする。授業が始まり、構成メンバーは全く同じなのに、1学期間で昨年とはまた違った現担任とクラス集団とのハーモニーができているのが感じられる。しかし、15分ほどもすると緊張がほぐれて辛抱が続かない子が数人。トイレにまで立つ。それが今のこの子達の実態なのだと、全員が野次もとばさずうろつかず、座っているだけ上等じゃんかと涙の出る思いで見守りながら45分は修了した。(つづく)

(ほーぷレター2013年9月号より)

~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。

Filed under: ほーぷレター,迷いの介護休暇 — 55hope 11:05 AM  Comments (0)

施設見学報告「通所介護事業凡」(徳谷好美)

堺市美原区の木材団地の近くの住宅街にあります。平屋で入口の門には「凡」と書いた表札があるだけですが、それが細川さんのやりたいこだわりのデイを感じます。どこか、自分の実家に帰って来た様なたたずまいです。玄関に入るまでに何段かの階段がありますが、手すりだけであえてスロープにはしていないそうです。審査の時はスロープの鉄板を設置したそうですが・・・普通のお家を出来るだけ余計な改装せずに自然に利用者がすごせるようになっていました。
その日のスタッフは3人で、細川夫妻、2時くらいまでのスタッフが1人、午前中に看護師1人で、看護師は食事準備もするそうです。その日の利用者は3人で、お一人は静養室で、お二人の男性はリビングでそれぞれの位置に座り、まるで自分のお家でくつろいでおられるような感じでした。リビングが(フロアでなくリビングなんです)どこにでもある家庭のリビングで、そこにはゆったり時間が流れていました。特に何をすると言った決まりはなく、細川夫妻の子供さんも時々はちびっこスタッフでゲームなど一緒にするようです。
リビング以外に私たちが通された和室は形の違う座りやすい椅子が応接セットになっていて、縁側があり、ここも落ち着いた感じです。時々利用者がくつろがれているそうです。隣の和室は静養室になっています。デイサービスと言う決まった言葉を使いたくないようなぬくもりのある場所です。細川さんのお話はざっくりしているように聞こえますが、その言葉と反対にしっかりと利用者と向き合っておられるのが凡の中に感じます。デイで一年たちましたが、細川さんの凡はまた自分が原点に戻る事を教えてくれるデイでした。

(ほーぷレター2013年9月号より)

Filed under: ほーぷレター,施設訪問 — 55hope 7:05 AM  Comments (0)
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