迷いの介護休暇(第14回) 松本敏子さん

介護休暇がくれたもの

まだみんなが職員室で仕事をしている時刻に夕食をとるのは心苦しかったが、勉強にも仕事にも追われない小学生の頃の感覚を思い出し。今日のトラブルをどう解決しよう、明日の授業をどう展開しようと思い悩まないでいい夜は平和だった。実家の不要なものを全て片付けてリフォームし、父の十三回忌をし、母と一年間通った病院も3月22日が最後になる。仕事を離れるとやりたいことが思う存分できると思っていた。今まで読みたくても読めずにいた本を高知から段ボール1箱分持ってきた。帰るときは読めずにたまった本が段ボール3箱分に増えていた。笑える。やろうと計画していた半分は頓挫した。「時間があったらやろう」と思っていることは、「時間があってもやらない」とわかった。制約がないということは、「好きなこと・したいことしかしたくない」のだとわかった。時間があると時間を無駄に使うこともわかった。決断に時間をかけすぎてしまうこともわかった。ストレスが無いということはまた、成長もないことだということもわかった。それでも、自分と自分の家族のために一日の時間を使えるのは幸せだった。「お金が無くても幸せ」というのは違うなと思った。お金があれば幸せとは限らないけれど、お金がなくては幸せにはなれないと感じた。たくさんはいらない。でも、暮らしていくにはお金は必要で、それを稼ぐためにはやはり働かねばならない。 (つづく)

(ほーぷレター2013年11月号より)

~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。

Filed under: ほーぷレター,迷いの介護休暇 — 55hope 2:52 PM
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