2013年9月1日
迷いの介護休暇(第12回) 松本敏子さん
不登校児のキモチ
学期末で忙しい先生方の邪魔をしてはならんと早々に退散し、風雨が激しくなってくる街中を、市役所や、なじみのパン屋や本屋やスーパーに寄りながら帰る。自分が20年間暮らしてきた生活がここにあることを実感する。この生活が再びもとにもどることがあるのか、ないのか、皆が笑顔でいられるためにはどんな選択肢が一番いいのかを3本100円のナスを選びながら考えていた。台風一過の翌々日、昨年担任したクラスの子らが参加する、県の研究会での公開授業が行われた。休暇中だが、高知にいる手前、様子を見に行かないわけにはいかない。ひとしきりにぎやかな集団に手を振ると、思いっきり抱きついてくる子や、ひとしきり愚痴る子、遠巻きにはにかんでいる子、「先生、なんでおらんが」と相変わらずとんちんかんなヤツ。ちっとも変わってないと思いながらも、大人びてきた風貌にこちらも少々照れくさかったりする。授業が始まり、構成メンバーは全く同じなのに、1学期間で昨年とはまた違った現担任とクラス集団とのハーモニーができているのが感じられる。しかし、15分ほどもすると緊張がほぐれて辛抱が続かない子が数人。トイレにまで立つ。それが今のこの子達の実態なのだと、全員が野次もとばさずうろつかず、座っているだけ上等じゃんかと涙の出る思いで見守りながら45分は修了した。(つづく)
(ほーぷレター2013年9月号より)
~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。
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