2013年7月3日
迷いの介護休暇(第10回) 松本敏子さん
不登校児のキモチ
3ヶ月以上も学校へ行かないと気分はすっかり不登校児。
もろもろの提出書類もあり、高知へ帰省して職員室へご挨拶をさせていただきたいと事務職へ電話した時から、すでに緊張してドキドキ胸の鼓動が高まるのがその証拠ではないか。
7月終業式前日。おりしも台風の直撃。「こんな天気やし、無理して来んでもえいで」と、当日の朝、管理職から電話をもらいながらも、休校なら子ども達もいないし、職員みんなが職員室にいるからそのほうがいいかと思い直した。周りが忙しく動く中、自分だけすることが見つからない状態はつらいものがある。
電話で言われたとおり、学校に近づくに連れ、風雨は増し、海に臨むトンネルを出たとたん、車は風にあおられ、無理して出てきたことを少しだけ後悔した。平生の勤務日だったら出勤を躊躇する天候だよなと思いかけたが、まあ去年のクラスに吹き荒れた嵐や保護者からのクレームの雷に比べたら、このくらいの雨風など、知れたものかと思い直して、独りで笑えた。
どきどきしながら「お久しぶりでーす」と声をかけてドアを開けたとたん、職員室の空気は自分のものになってくれた。窓の外は大荒れなのに、クーラーのかかった職員室は穏やかで明るく、あれほど緊張していたはずなのに、変わらない先生方の笑顔で、そこはすぐに自分の仕事場にもどった。 (つづく)
(ほーぷレター2013年7月号より)
~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。
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