2013年4月6日
迷いの介護休暇(第7回) 松本敏子さん
他の友人からのメールには連休に行われた東京での研究会の感想が添付されていた。
震災で大勢の人が死ぬ、大切な身内が病気や障害を持つ…など、それ自体はまったく「シメタ」ではない出来事を目の前にして、「どっちに転んでもシメタ」という言葉はいかなる意味を持つか?
そのキーワードは「偶然」と「あきらめ」と「再出発」。それらの悲しい出来事は、「偶然」我が身に降りかかったものであって、そこには神の意志も無ければ前世の因果も無い。無理に意味を見つけようとしたり、なんとか元に戻そうともがいたりしているうちは苦しみが続く。
しかし、それが自分にはどうしようもない「偶然」の出来事なら、起きてしまったことは「あきらめ」るよりほか仕方ない。「あきらめ」て受け入れて、さて、そこからどうするか?
そういう気持ちになって初めて、これまでとは違う景色が見えてくる。新しく何かが出来そうな気がしてくる。それが「再出発」。苦しむ時期を出来るだけ短く抑え、再び前向きに生きることが大事。「どっちに転んでもシメタ」というのは、不幸を無理に納得しようとするやせ我慢の言葉ではなく、「不幸な偶然はさっさとあきらめ、そこから再出発すれば人生は再び明るく開ける」という原理を示す言葉。
関わりようのないことはあきらめ、関わりようのあることだけを生きる。つまり、そのような再出発の人生そのものが、「シメタ」なのだともいえる。(つづく)
(ほーぷレター2013年4月号より)
~松本 敏子さん ご紹介~
ホープの利用者さまのお嬢さまです。高知在住。お母様はひとり暮らしで、介護サービスを利用中。松本さんは、1年間の介護休暇を終え、現在、仕事に復帰。
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